『やっと観られた巨匠ジョージ・A・ロメロの【怨み】というゾンビじゃないサスペンス映画』

3.5
その他映画
つぶらな目が怖い(笑)

ゾンビ映画で有名な巨匠ジョージ・A・ロメロ氏。
氏のゾンビ映画は全て網羅した筆者ですが、ゾンビ系以外はこれが初めて。
偶然レンタル屋さんで見つけて、機会を得て借りてきました。

【原題名】BRUISER
【製作】ベン・バレンホルツ、ピーター・グルンウォルド
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【脚本】ジョージ・A・ロメロ
【撮影】アダム・スウィカ
【音楽】ドナルド・ルビンスタイン
【出演】ジェイソン・フレミング、ピーター・ストーメア、レスリー・ホープ、ニーナ・ガービラス
2000年/アメリカ映画/100分

つぶらな目が怖い(笑)

=ストーリー=

まじめで気のいい雑誌の編集者ヘンリーは、
郊外に念願の家を買ったお陰で毎日が節約の日々。
それなのに浪費家の妻にはなじられ、
会社では横柄な編集長からはバカにされ続けていた。
さらに大学時代の友人で証券マンのジミーには、
大事な運用資金を騙し取られる始末。
やがて彼は自分の妻と編集長の浮気を知り、
誰からも存在を認められない自分は“顔のない男”と思い詰める。
翌朝目覚めたヘンリーの顔には白い仮面が貼りついていた。
自分を失った彼にはもう恐いものなど何もなかった・・・。

ヘンリーの妄想がさく裂する場面は素晴らしい

=感想=

「いい人はもう辞めだ」
人は皆、社会秩序の中で生きていく為に我慢している。怒りや不満をどこかに押し込めている。いい人の仮面の下、いや上?に目が覚めると本当につぶらな瞳の仮面が張り付いて取れなくなってしまっていた。
一度自分の顔をなくした時、怒りや怨みが噴き出し、狂気が止まることなく怨みを持つ相手を破壊し尽くす様は圧巻、というより淡々としていた。
まだ日常パートの方がインパクトがあった印象。
これはロメロならではの皮肉な演出なのか!?
つぶらな目の仮面のせいかも知れないが、怨みやドロドロした感情は感じられず、感情移入できないほど淡々としていた。
つぶらな目は人間それぞれの視野の狭さを表しているのか・・・。
最後に仮面が取れてヘンリーは警察に捕まることもなく逃げていくのだが、全てのしがらみを捨てて自由になった印象。
その後、髪の毛を伸ばしラフな格好で腕にもタトゥーを入れてチャラ男になったヘンリーが別の会社でレター係をしていた…
そこで怒鳴りまくってる会社員に目をつけられ、ヘンリーが振り返ると顔がつぶらな目の仮面に元通り…。
これは実はヘンリーではなく、誰しもがヘンリーになり得るということなのかなぁと感じてしまいました。

「いい人はもう辞めだ」

今の時代はいい人こそ必要なのかと

これを言いたい人はかなり多く居ることだろう。
社会を風刺するロメロ監督ならではの切り口は好きだ。
最後の方でミスフィッツが演奏してたのは個人的にご褒美でしたね。
エンディングの『テイクオンミー』カバーもかっこ良かったですし。
ただ怨みの発散を淡々と無表情のつぶら目仮面でやっているので、映画としては盛り下がりを感じてしまう。メッセージとしては伝わりやすかったんですけどね。
そこが難点かなぁ、と。
やっぱりロメロの映画は公開されたその時に観なきゃと強く感じました。
もう新作を観られることはありませんが。
タイトルの『BRUISER』強い大男、乱暴者という意味だとか。
2000年、21世紀、新しい時代を迎えた当時、強く大きな存在や新しいものに対するアンチテーゼでもあったんじゃないかと…。
強いアメリカ、強い男より賢さや尊さ、もしくは逆に失いかけてた強いアメリカ、男らしさなのかな?
もう2,3回観てみないと解らないかもですね。
邦題の『怨み』よりはしっくりくるんじゃないでしょうか。
2021年、新型コロナでマスクなしでは外出もままならない現代において、この映画の様なつぶら目の仮面がいつ現れてもおかしくないという気がしてなりません。

なんちゃって(笑)
後々色々と考察できるこういう映画は大好きです。
確かに映像的には派手さはないですし、あのつぶら目の仮面のせいで淡々とした感じが強調せれて良かったと思うんですがねぇ。
世間的には評価があまり良くなかったみたい。
今は亡き巨匠ジョージ・A・ロメロの作品、観ていないのも残りわずかです。
寂しいなぁ。

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